パイプライン

開発パイプライン
プロジェクト適応症地域基礎研究非臨床研究PhaseⅠPhaseⅡPhaseⅢ上市

ITK-1

  1. がんペプチドワクチン
  2. 富士フイルム(株)へ導出済み
前立腺がん日本

GRN-1201

  1. がんペプチドワクチン
非小細胞肺がん米国
メラノーマ米国

GRN-1301

  1. ネオアンチゲン
  2. T790M点突然変異抗原ワクチン
非小細胞肺がん未定

T-iPS

  1. iPS細胞再生T細胞療法
  2. 外部研究機関と共同開発
EBウイルス由来リンパ腫日本
創薬研究

当社が保有するがん抗原(治療薬シード)を、ペプチドワクチンの形態以外に活用展開することも含めたがん免疫治療薬の探索研究を進めています。また、これまでのペプチドワクチンの開発で得た経験と近年の技術革新を踏まえ、次世代がん免疫治療のターゲットとして注目度が⾮常に高まっている、遺伝子変異に起因するがん抗原(ネオアンチゲン)の探索と臨床応⽤を目指した研究も進めています。

ITK-1(前立腺がん)

  1. 患者の免疫応答に最適な抗原ペプチドワクチンを投与
  2. 国内で前立腺がんを対象とする第Ⅲ相試験を実施中(現在、観察期間)
  3. 富士フイルム株式会社へライセンス・アウト済み

リード開発品のがんペプチドワクチンITK-1は、富士フイルム株式会社へ導出済みで、2013年6月より日本国内においてプラセボ対照第Ⅲ相二重盲検比較試験が実施されており、現在観察期間中です。
本臨床試験は、前立腺がんの中でも手術・放射線療法・ホルモン療法・化学療法剤の治療を経た進行性の去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、全国の施設で進めています。

ITK-1は、予め用意した12種のがん抗原ペプチドの中から、投与前の患者の末梢血を用いた免疫検査によって、各患者に最適な抗原ペプチドを選択して投与する、「テーラーメイド型」がんペプチドワクチンです。テーラーメイド型ワクチンでは、患者にワクチン投与する前に、当社独自開発のバイオマーカーで既存の免疫応答(特定のペプチドを攻撃の目印としてがん細胞を攻撃した経験=免疫メモリー)の有無を確認し、免疫メモリーのあるペプチドを投与します。それによって、より強い免疫をより早期に誘導でき(2次免疫誘導)、より高い臨床効果へ結びつくという考え方に基づいています。がんペプチドワクチン開発のチャレンジの1つは、免疫応答から誘導CTLによるがん細胞攻撃、そしてそれが臨床効果として現れるまでタイムラグがあることです。当社はバイオマーカーと組み合わせて2次免疫からの誘導を図る独自の投与方法によって、この課題を克服することを考えています。

さらに、当社は複数のペプチド抗原を同時に投与します。がん細胞は免疫系の攻撃を免れるためにがん抗原提示に関わる特定の遺伝子発現を変化させて攻撃の目印の発現を低下させたり消失させたりすることがあります。これは、エスケープ現象、あるいは免疫逃避と呼ばれています。1つのペプチド抗原投与だと、最初は効いても、がん細胞の遺伝子変異により、すぐに効かなくなる可能性があります。複数の抗原投与なら、がん細胞の遺伝子変異が追いつかず、エスケープ現象を回避できる可能性が高くなります。

GRN-1201(非小細胞肺がん※1/ メラノーマ)

  1. グローバル向けがんペプチドワクチン
  2. メラノーマを適応症とするパイプラインは、米国で第Ⅰ相臨床試験を実施中
  3. 非小細胞肺がんを適応症とするパイプラインは、米国で第Ⅱ相臨床試験を実施中

GRN-1201は、欧米人が多く持つHLA型に結合するペプチドセットで構成しているため、米国や欧州を始め、グローバルに展開のできるがんペプチドワクチンです。

メラノーマ(悪性黒色腫)を適応症とするパイプラインは、2015年10月に米国FDAに治験届(IND)を申請し、第Ⅰ相臨床試験を開始しており、現在症例登録中です。また、2017年1月には、同じく米国において非小細胞肺がんを適応症とする第Ⅱ相臨床試験を開始いたしました。この試験は、GRN-1201を免疫チェックポイント抗体(抗PD-1抗体薬)と併用して行います。免疫チェックポイント抗体は、患者ごとの免疫系の状態が異なることが原因で、最もよく効くと言われているメラノーマでも、奏効率が20-30%と言われています。そこで、言わば「免疫のブレーキを取り除く」免疫チェックポイント抗体と、「免疫の働きを高める」がんワクチンであるGRN-1201を併用することで、「がん細胞の逃避防止」と「がん細胞に対する攻撃への誘導」が同時に行われ、より高い治療効果が期待されます。

GRN-1301(非小細胞肺がん)

  1. ネオアンチゲン※2(遺伝子変異抗原)ペプチドワクチン
  2. 個別化医療の実現に向けた新規ターゲット

非小細胞肺がんを適応症とするネオアンチゲンペプチドワクチンを開発しています。肺がんは、診断時には既に進行または転移が認められることの多い予後の悪いがんで、米国では約22万人、日本では約13万人が罹患すると報告されています。8割以上が非小細胞肺がんと診断されますが、その約1割(日本人の場合は3割)に当たるEGFR※3活性化変異(一次変異)が生じている患者にとって、現在はEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が既存の有効な治療薬となっています。しかし、多くの患者は治療開始後1~1年半ほどでEGFR-TKIに対する耐性が生じ、病勢が進行します。EGFR-TKIに耐性が生じた患者の約6割において、EGFR-T790M点突然変異※4(二次変異)という遺伝子変異が生じていることが、これまでの研究から明らかになっています。当社は、このEGFR-TKI耐性遺伝子変異を抗原(ネオアンチゲン)とするペプチドワクチンを開発しています。

作用機序など詳細についてはこちらをご覧ください。

T-iPS(EBウイルス※5由来リンパ腫)

  1. iPS細胞再生T細胞療法
  2. 再生医療のがん免疫療法分野における世界初の臨床応用

中内啓光東京大学医科学研究所教授兼スタンフォード大学教授等による発明をもとに、iPS技術を利用した再生医療のがん免疫療法分野への世界初の応用を目指し研究開発を行っています。iPS技術を用いてT細胞を再生させる(若返らせる)ことにより、がん免疫療法においてこれまで課題とされてきたがん細胞を攻撃するT細胞の疲弊を防ぐとともに、同じくiPS細胞療法で課題とされてきた様々な過程で起こりうる副作用を回避するモダリティ(治療法)として開発を進めています。当初はコンセプトを示しやすいウイルス性血液がんの一種であるEBウィルス性リンパ腫での開発を進め、将来的には固形がんを含む需要の大きな適応症へ展開する予定です。

作用機序など詳細についてはこちらをご覧ください。

【語句説明】

※1
非小細胞肺がん:肺がんは、大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2種類に分けられる。「非小細胞肺がん」は「小細胞肺がん」に比べ比較的進行が穏やかである一方、化学療法と放射線療法の効果が現れにくいという特徴を有する。日本人においては、肺がん患者の8割以上がこの「非小細胞肺がん」に分類される。「非小細胞肺がん」は更に「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」などに分類される。
※2
ネオアンチゲン:Neoantigen。がん細胞に独自の遺伝子異常が起きた際に生じる、遺伝子変異(アミノ酸変異)を含む抗原のこと。個々の患者のがん細胞に生じた独自の遺伝子変異によって発現されるようになったがん特異的な抗原で、正常な細胞には存在しない。免疫系から「非自己」として認識されるネオアンチゲンを標的とすることで、がん細胞を殺傷する免疫を効率よく誘導できるようになることが期待されている。がんワクチンの抗原として使われるのみならず、免疫チェックポイント抗体が有効な患者を選別するためのバイオマーカーとしての使用、またこちらも近年台頭してきているT細胞療法(CAR-T:キメラ抗原遺伝子導入T細胞療法、TCR-T:養子T細胞受容体遺伝子組換T細胞療法、そしてT-iPS:iPS化再生T細胞)の精度の高い標的として使用されることも期待されている。
※3
EGFR:Epidermal Growth Factor Receptor(上皮成長因子受容体)。細胞の増殖や成長を制御する上皮成長因子 (Epidermal Growth Factor) と結合し、シグナル伝達を行う受容体(Receptor)。この受容体が活性化されると細胞の分化・増殖が起こる。またEGFRは多くの細胞に見られ、変異が起こることでがん化や浸潤・転移に関わるようになる。
※4
EGFR-T790M点突然変異:EGFRの790番目のアミノ酸がスレオニンからメチオニンへの変異することを指す。この変異はタルセバやイレッサ等、既存のチロシンキナーゼ阻害剤に対する薬剤耐性を示すとされている。
※5
EBウイルス:エプスタイン・バール・ウイルス。EB ウイルスはヘルペスウイルスに属し、ほとんどの人が感染しており、その一部がヒトに腫瘍を発生させる。1964 年にEpsteinとBarrによって発見されたヒトの腫瘍から見つかった最初のウイルス。